恩田陸『ユージニア』

  • "いわゆる"ミステリと思うことなかれ。これは"恩田印の物語"です

ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)


単行本版の装丁が話題だった本書、ようやく文庫化されたのですかさず入手。
最近金沢に行ったばかりなので、タイミングもばっちりです(個人的に)。
街の描写も、ああ、こんな感じよね、と思いながら読めました。
あと、内容をご存知の方はお分かりだと思いますが
この夏のゲリラ豪雨がまた、臨場感を盛り上げてくれました(泣)。
そこまでリアルな読書は求めてなかったのですが。


20年以上前の大雨の日に、金沢で起きたある事件。
旧家のお祝いの席で、家族や祝い客が大量毒殺された。
犯人と見られる男の遺書が発見され、
公式には事件は解決されたことになっていたけれど―。


話の進め方は『Q&A』をさらに追求したような形式で、
この形式が好きな私は、読むのが非常に楽しかった。
ただ…ミステリ仕立てというか、題材はミステリなんだけど
実は終盤の解決があまりはっきりしてないのです。
なので、謎解きものとして読むと最後にやや不満が残るかも。
その目線で読んでいくと、どうしても「もう少し明確な着地を!!」
って言いたくなると思う。
でもなぁー。恩田さんだからなぁー。
恩田さんだと思えば、なるほどいかにも…と納得できるラスト。
その前提の上で、好きです、この作品。
(つまり、恩田さんじゃなければ「なんなのこのオチ!」と
思った可能性はあります。)


しかし、金沢って古本屋さん多いんですね。知らなかったよ。
今度行くことがあれば事前調査しなくちゃと思いました。


単行本の装丁も魅力的だった本作。
文庫には解説がわり?に祖父江さんとか、
デザインに関わった人のミニインタビューがついていて、
お得感あります。
単行本をお持ちの方も、ぜひ書店で立ち読みを。