エイミー・ベンダー『燃えるスカートの少女』

  • 短い文章、長い余韻。絶賛されたのも納得の短編集

燃えるスカートの少女 (角川文庫)

燃えるスカートの少女 (角川文庫)

SNS「やっぱり本を読む人々。」の企画によるおススメ本。
未読の作家の作品を手に取るか取らないかって、最終的には勘なんだけど
私の場合はタイトル、装丁、解説(を書いてる人)あたりが
割と大きなポイントらしい。
この『燃えるスカートの少女』はタイトル買いでした。

で、感想。
おもしろい!こんなすごい作品があったんだ。知らなかった。
こういう作品って、一気に読みきりたいんだけど
そこを騙し騙し少しずつ読んでいけたら、幸せだろうなあ。
と思うけど、こらえ性のない私は一気に読んでしまった。
現代アメリカ文学が好きな人なら、きっと気に入るはず。


短編集だし、一つ一つのお話も短い。
でも、それぞれに展開される宇宙は深い。強烈な余韻を残す。
これが短編という形式の持つ力だと思う。
この奇妙な世界たちをもっともっと読み続けたい、
終わってしまうのがもったいない、と思わせる一冊だった。


この人の短編が300くらい入ってる本があったらいいなぁ。
(↑むちゃくちゃ言ってみました)
旅の途中とかで読んだら、最高だろうなぁ。
いろんな意味で帰りたくなくなる気がする。


一番好きなのは、どれだろう?
「思い出す人」「ボウル」「マジパン」「どうかおしずかに」
「癒す人」「指輪」・・・
ああ、決められない。
訳の菅啓次郎氏のセンスにも感謝。
原文で読んだら、自分の語学力に邪魔されて堪能できなかったに違いない。


エイミー・ベンダーという作家はこれまで読んだことがなかったけれど
なんと、これが処女作!
センスってこういうことですね。
とにかく、強烈でした。