木地雅映子『氷の海のガレオン/オルタ』

ネット友人に譲っていただいた本。

氷の海のガレオン/オルタ (ピュアフル文庫)

氷の海のガレオン/オルタ (ピュアフル文庫)

木地雅映子さんは、なにかの書評で見かけて気になっていた。
でも一冊も読んだことがなくて、今回のような経緯で入手することがなければ
もしかしたらずっと読まないままだったかも。
いい本をありがとう!>しんちゃん


この文庫には、2作が収録されている。
「氷の海のガレオン」と「オルタ」の2作。


表題作「氷の海のガレオン」は、感受性の強い少女、杉子の物語。
「文学と両親の言葉で培ってきた自分の言葉が、
学校でまったく通用しないと小学三年生のときに気づいた」杉子は
それ以来、学校では変わった女の子とみなされているが、
「自分を天才だと信じて疑わないむすめ」。
こういう設定は他の作品にもある。むしろ、多いかもしれない。
けれどその中でも、この人の描写は好きだ。
同級生に自分が読んでる本をネタに話しかけられて、邪魔されたくないばかりに
講談社現代新書でも持ってくりゃよかった」と思う小学六年生女子!
好みだなぁ(笑)。
主人公が男の子だったら「鼻につくのよねー」くらい
言いそうだけど、共感しちゃうのは、同性だからかなぁ。
自分の子ども時代のある一面をデフォルメした姿、というか。


両親を見て、早く大人になりたい、と思う杉子。
でも、大人になるにはまだまだ時間がかかる。
そのことにうんざりしてる杉子。
窮屈だろうけど、時間かけたほうがいいぞ、杉子。
この大人たちだって、最初から今のように
”見るからに楽な”オトナだったわけじゃないのだ。


「オルタ」は、母親から見た”学校になじめない子”の物語。
杉子とママのお話ではなく、オルタはもっと小さな子どもで
アスペルガー症候群と思われる症状をときに見せる。
オルタに対し、誠実に、人として最大限に誠実に(←と私は思う)
向き合う母親の強さが印象に残る作品。


うまく感想が書けないんだけど、この本、読めてよかった。
木地雅映子さんに一気に興味がわく。
他の作品も読んでみたくなった。