クレイグ・ライス『スイートホーム殺人事件』
※SNS「やっぱり本を読む人々。」のためのレビューです。
スイート・ホーム殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-1)
- 作者: クレイグ・ライス,長谷川修二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1984/10
- メディア: 文庫
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- クレイグ・ライスの傑作コージーミステリ
コージー好きで未読の方は是非!
主人公はカーステアズ家の3人の子どもたち。
長女ダイナはいかにもお姉ちゃん。「健全型」と妹に命名される14歳。
次女エープリルは"ことによると将来大変な美人になるかもしれず、本人もそれを知っている"12歳。
末っ子のアーチーは、わんぱくだけどお姉ちゃん2人には頭が上がらない8歳の男の子。
3人は母さんが大好きで、母さんも3人が大好き。
でも男手のないこの家で子ども3人を育てるため、母さんは日夜むちゃくちゃ働いています。
(あ、母さんの職業はミステリ作家です。)
そんなカーステアズ家の隣で殺人事件発生!
3人は銃声を聞いた重要な証人となるのですが・・・。
「この事件を警察に解決させるなんてもったいない。」
「僕たちが解決しよう。
そして有名になったら、母さんのご本がものすごく売れて、
母さんは仕事しなくてよくなるに違いない!」
と、3人は母さんのためにこっそり殺人事件の捜査を始めます。
ついでに、この事件の捜査にやってきた、若くて独身の警部を母さんとくっつけようとあれこれ策を練りはじめます。
さあ、子どもたちは大人の鼻先で事件を解決できるのか?
そして新しいお父さんをゲットできるのか!?
3人の子どもたちの魅力的なキャラクター。
銃声を聞いた時間を質問する警察に対し「あれ何時だったっけ」「ちょうどおじゃがを火にかけようとしていたのよ」「おじゃがなんて昨日の夕食に出なかったじゃない」と、いきなり混乱作戦に出て、犯行時刻を特定させません。
(「おじゃが」の話はしつこいくらい何度も出てきて、落語のようです。ライスには関西人の血が流れているに違いない。)
母さんと3人が仲良くごはんを食べるシーン。
母マリアンと、ビル・スミス警部の絵に描いたようなボーイミーツガールストーリー。
「9人の子どもを手塩にかけた」と自慢しているのに、エープリルにもアーチーにもコケにされるオヘーヤ巡査部長。
歯が抜けたばっかりでちゃんとしゃべれない「地廻り団」の男の子。
実際に起こる殺人事件とその背景はかなり暗いのだけど、こうした描写が作品全体を明るくしています。
「スイートホーム」と「殺人事件」。反対方向のベクトルの言葉が並ぶタイトルは、
"Home Sweet Homicide"という原題そのままのイメージで、この作品にぴったり。
1976年の作品ですが、何度でも読み返したくなる一冊(うちにあるのはもうボロボロです)。