今日の読書:柴田よしき『Miss You』

柴田よしき『Miss You』読了。

Miss You (文春文庫)

Miss You (文春文庫)

  • ひとりの編集者の成長記

柴田よしき強化月間、続いております。
わりと最近の作品(ワーキングガール・ウォーズ)→デビュー作(RIKO)
ときて次はMissYou、順番もう少し考えて読もうよしかし。


本作の主人公、江口有美は26歳の文芸編集者。小説誌の担当をしている。
ようやく1人で仕事ができるようになってきた彼女、
付き合って1年になる恋人と婚約した翌日
新人の自分を育ててくれた先輩編集者が殺されたことを知る。
そういえば、ちょっと前のことだけど、その先輩が担当していたある作家が
泥酔して編集部に電話をかけてきて、1人だけ幸せになれると思うなとか言っていた。
あれは先輩が殺された事件と関係があるのだろうか?
なんて思っているうちに、今度は有美本人を中傷するようなある事件が起こり、
婚約者との間に大きな亀裂ができる。
彼女は自分の周りで起きている事態の原因を探ろうとしはじめるが―というお話。


最初に書いたとおり、主人公有美が1人の編集者として成長していく様を読む物語。
彼女の仕事風景として登場する作家や編集者たちが個性的で、飽きさせない。
主人公本人は実に・・・なんというか、ソツがなく、その分ちょっと退屈なんだけどさ。
(「明かりを消してー!」ってさぁ、泣くようなことか?あんた26でしょ?
とか思ってしまうけど、えーと、そのへんは人それぞれですかね。)
ま、彼女はブリッコをしているわけではなくて、ほんとに優等生なんだよね。
そのあたりがスパイシーな女を好む私としてはイマイチだったけど
彼女をこういう性格にしてることによって、ミステリとして構成し得た部分もあるんだろう。
いろいろ文句言いつつ、勢いで読めてしまいました。
10年後の彼女がどんな編集者になっているのか、はちょっと見てみたいな。