今日の読書:若竹七海『悪いうさぎ』

若竹七海『悪いうさぎ』読了。

悪いうさぎ (文春文庫)

悪いうさぎ (文春文庫)

  • 日本にもこういうのあったんだ。ハードボイルドな女探偵

「ハードボイルド」な「女探偵」と聞くと、浮かんでくるのは
サラ・パレツキーのヴィク・ウォーショースキーとか、
スー・グラフトンのキンジー・ミルホーン。
P.D.ジェイムズにも『女には向かない職業』というのがあったし、
これは未読だけどパーカーのサニー・ランドルシリーズもおそらくこの範疇?
って感じで、海外の作品ばかりが出てくる、翻訳モノからミステリに入った私。
日本にもこういう存在があるとは知らんかったです。
この作品の主人公、葉村晶はまさしく上記の系統。
これ、好きです。この主人公はもう少し追いかけたい。


家出した女子高生、ミチルを家に連れ戻す仕事を受けた葉村晶は、
仕事中に大怪我をする。
その怪我がようやく治りかけてきた頃、ミチルの友人である
美和が行方不明なので探してほしいとの依頼。
調べていくうちに、他にも姿を消した女子高生が
美和とミチルの周囲にいることがわかり―
という、ほんと典型的なハードボイルド女探偵もの。
最後に明らかになる真相はかなりぞっとする。


ハードボイルドな女探偵というのは、存在からして矛盾してる。
得てしてハードボイルドものって、知力だけでなく、腕力も問われるので
やっぱり女には不利なんである。
パレツキーのヴィクなんて、毎回毎回瀕死の危機にあっている。
(彼女の瞬間湯沸かし器的なところにも問題はあるけど。少し落ち着けよ。)
でも、ハードボイルド女探偵たちはみんな
「自分は負けない、解決してみせる」って思ってる。
だからどんなに身の危険を感じることがあっても、この職業をやめないんだよね。
葉村晶も同じく、トラックに閉じ込められて2日間過ごすとか
山の中を猟銃で追い回される、なんて目に遭う。
当然そんなことに、普通の人は耐えられないわけで、彼女も1度は
自分に対して持ってた自信を失うんだけど
巻き返して、ちゃんと事件を解決してみせた。
この系統で目ぼしいもの(海外作品の)はあらかた読んでしまっているのですが、
久々のヒット作です。
シリーズらしいので、他の作品探して買わなくちゃ。