今日の読書:柴田よしき『ワーキングガール・ウォーズ』

柴田よしき『ワーキングガール・ウォーズ』読了。

ワーキングガール・ウォーズ (新潮文庫)

ワーキングガール・ウォーズ (新潮文庫)

  • 仕事してる女性(20代後半以降)必読!元気になれる短編集

いきなりF1層前半の読者をばっさりと斬り捨ててしまいましたが
なんでかというと、ヒロイン(達)が20代後半以降の年齢なのです。
で、こういうこと書くとおばちゃんっぽくてアレなんですけど、
このくらいの年齢の働く女の頭の中はどういうわけか、
20代前半の同性には見えないことが多いんですよ。
あと、この小説の中でヒロイン(達)が若い働く女性に
あまり好意的じゃないんです。
なので、なんだとこのババア!と思うかもしれない。
でも、そこらへん、気にしない人は読め。むしろ読んでください。
5年後、10年後にはこんなオトナになれるかもと思って読んでください。


37歳未婚、一流企業の係長、都心に1LDK55平米を持ってる翔子。
いわゆるアレですね。勝ち組負け犬ですね。
入社14年、仕事の能力の高さは誰もが認めるけど、
その分、部下の不出来が目に付く。
ちょっと注意すれば最近の若い子はすぐむくれちゃって、
やってらんないのよねー。って感じの自他共に認める「お局様」。
別に人に好かれたくて仕事してるわけじゃないけど、
そんな状況にちょっと疲れた彼女。
ペリカン見たい」
という理由で突然1週間の有休をとってオーストラリア・ケアンズに行く。
そこで出あったのは、29歳同じく未婚、ケアンズツアコンやってる愛美。
旅行中に小さなトラブルがあって、その縁で友達になった2人が
それぞれの生活の中で出会うちょっとした事件が描かれている。


これね。最初は、翔子がものすごくヤなお局様なんですよ。
「この見積の計算、ケタ間違えてるわよ。ね?
ケタの大きい足し算は、暗算じゃなくて紙か電卓で計算した方がいいわよ」
なーんてわざとらしく言っちゃうのだ、去年入社したばかりの子に。
しかもそのあとで
「あ、あのすごい色のネイルについて嫌味言うの忘れた」
とか思ってるのであります。
ヤなやつ。
でも、仕事はよくできるし、がんばってる。
仕事のことに関してはフェアであり続ける。
ネイルのことでいびろうと思ってる割には、彼女を狙ったと思われる
嫌がらせなんかが社内で続くと、犯人捜しに乗り出したり。
失恋から来ると思われる、最近仕事中明らかに身が入ってない部下を
夜ご飯に連れ出して、かっこよく(しかも、あえてヤな先輩な感じで)
説教したり。
途中で恋の予感みたいな相手に会ったら、急に人間丸くなったりして
かわいいところも、実はある。
最後にはこの気の強いお局様が好きになっているし、
自分の気持ちもちょっと元気になってる、そんな作品です。
気に入ったのは最後の3行。
「今日もしっかりNHKの朝の連続テレビ小説を見たし、朝ご飯に
カップスープとトーストも食べたし、会議資料は全部揃ってるし。


負けないもんね。絶対に。」


ちょっと疲れてる、すべての働く女性におススメ。