今日の読書:米澤穂信『犬はどこだ』

米澤穂信『犬はどこだ』読了。

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)

おもしろい!
社会人を主人公にしたためか、古典部シリーズで気になる
「その高校生ちょっと鼻につきません?」感(さよなら妖精もそのケはある)がない。
これは個人的に評価アップポイントです。
ああいう感じ、まあ高校生のころにはあったのだろうけど今読むとむずがゆいよね。
主人公は銀行のエリートサラリーマンをやってたんだけど一身上の都合で退職し、
犬探し専門の探偵事務所を開いた男。
犬を探すはずが、なぜかちゃんとした依頼が2件も持ち込まれ
調べていくうちにその2つの依頼がクロスしはじめる―というお話。
犬探し専門の探偵って何?しかも浮気調査じゃない依頼が来てるよ。
などと最初は思うわけだけど、そのうちそんなこと気にならなくなる。
高校時代の後輩で「探偵」という職業に憧れを抱く男が
主人公のもとに「押しかけ助手」として現れ、
依頼のうち1つを彼に任せることになるんだけど
この2人の交互の視点で描くという構成が良かった。
まあ、仕事的観点で見れば
「も少しちゃんとホウレンソウしとけば早く気づいたんじゃ?」
と思わないこともないけど。
最終的に彼は2つの依頼両方で成功する。その調査過程もおもしろい。
特にネットを生かした部分は、やはりこの作家の出自によるものなんでしょうね。
いろいろ見所ありますが、いちばん気に入ったのはラスト。
この終わり方が余韻を残します。