今日の読書:若竹七海『閉ざされた夏』

若竹七海『閉ざされた夏』読了。

閉ざされた夏 (光文社文庫)

閉ざされた夏 (光文社文庫)

  • 設定が好み!夭折した天才作家の記念館で起こる事件


若くして世を去った作家、高岩青十。
彼の生家である高岩家が私財を投じて作り、市に寄贈した青十記念館で
嘱託学芸員として働く主人公、才蔵。
彼の職場である記念館に、小さな放火騒ぎが何度か起こる。
職場の空気がおかしくなってきて、
とあるイベントを控えて忙しさもピークに達した頃、
学芸員の1人が他殺体となって発見される。
才蔵は妹でミステリ作家の楓と事件を追い始める―ってお話です。


この高岩青十という作家、実在の人物ではないのですが
彼の設定がすごく良い。
父親は「流通王」と呼ばれる企業人だけど
青十は体が弱くて、後を継ぐことなんてできない。
学校にも行けない彼を年の離れた姉が教育し、
そのことで青十の才能が開花する。
架空とわかっているのに、思わずアマゾンで検索したくなるくらい
おもしろそうな作家。
非常に良く作られたディテールです。
(誰か、モデルがいるのかな?)


殺人事件の途中まではかなり良かった。
最後にきて「え、ここもそうなの?あれも!?」みたいなのが続き
ちょっと待ってホントのことってなんだったの・・・という
軽い息切れ感がありますが、全般に良いと思います。
エンドの「逆転逆転また逆転」は、時に過剰になってしまうのね。


しかし、若竹七海嬢はやたらに顔写真を掲載していますね。
そんなに彼女の文庫を持ってるわけではないけど、
既に2、3回見かけてるような気がする。